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妊娠中の薬の服薬について
妊娠と薬について、正しい知識を持つ人は多くありません。「妊娠中の薬はいけない」との考えも根強くあります。
しかし、先天奇形の発生率は妊娠の3から5%で薬剤によるものは奇形全体の1%にとどまるのが実情です。
一方で、自分勝手な判断で服薬を中止するリスクもあります。
糖尿病の治療中に急に薬をやめると妊婦の血糖値が急上昇して胎児の奇形が生じる可能性は10倍に上がるというデータもあります。
リスクは胎児の発達の時期によっても異なります。妊娠発覚後の4から15週は重要な臓器がつくられる時期で胎児への成長に与える影響が問題になります。
16週以降は胎児の臓器障害や出生後の赤ちゃんへの薬の残留が問題になります。
母体の治療を優先すべき時には妊娠の時期によって使う薬を変えるなどして治療する方法がある。危険性と利益のバランスを判断する必要があり専門家への相談が大事になります。虎の門病院(港区)、聖路加国際病院(中央区)に妊娠と薬の相談ができる外来が開設されています。興味のある方はHPを参考にしてください。
歯科医院で処方される薬は、抗菌剤と消炎鎮痛剤です。
抗菌剤は、ペニシリン系セフェム系マクロライド系ですが胎児に奇形が生じる可能性や臓器に与える影響はないと報告されています。
消炎鎮痛剤は、ロキソプロフェンイブプロフェンですが胎児が肺高血圧症のなる可能性があり、妊娠後期の使用は避けた方がいいと言われています。
妊娠中の鎮痛薬は出せませんと言われるのはこのためです。抗生剤は処方することができます。妊娠と薬情報センターというHPも参考にすると良いです。
患者さん自身が知ることで安心して服薬することが大事ですね。
2016.06.12